2011年01月27日

平岡けいこ詩集

<平岡けいこ詩集>  記 中尾彰秀         詩人・ピアニスト・ヒーラー

 あなたの人生を至福にする百の詩集(97)

 「幻肢痛」  平岡けいこ詩集 砂子屋書房 出版2010年 B6版 111ページ 21篇
                            2500円+税

 生命とは、闇を超えた光。
 外ではなく内にある本当の光を得る為、
 焦燥にこがれ尽くし
 哀しみを泣き尽くし
 失ったと思い込む様々を認識し直し
 実在を知る為
 無限にある不在を一つ一つ噛み締め
 それは
 プロセスであるだろうか
 それは
 その都度の、貴重な体験であろうか
 心も魂も
 決して
 物質リアリズムや泥沼の格闘に
 終始するべくありはしない。
 哀しくも楽しくも生命は闇を超えた
 光だから。

       「夜明けまで」

<限りなく焦燥に近い欲望なのだ つまり 生活とは 無限のような一瞬なのだ

 私は取り急ぎこの哀しみを 泣いてしまわねばならない 深海に沈む難破船の
 ように 捩れた記憶を生活の裏に沈め 立ち去らねばならない 直ちに 古ぼけ
 た懐中時計のねじを巻き 新しい地図を描く 失った翼でできた羽根ペンで

 弧を描いて 約束が落ちる 守られるはずだった 守られなかった約束たち

 それぞれの形に留め置かれ 忘却に晒されるだけ ただ目の前の哀しみを
 泣いてしまわねばならない 海のように 繰り返し 赤子のように 揺れながら
 希望のように直ちに

 白い月が夜明けと契るまでの 一瞬の けれど 永遠のような 絶望のような
 闇を抱えて 今日を消費した焦燥を なだめなければならない 一日の終わりに

 つまり 生活とは 一瞬の闇が無限に続く その先の壮麗な光なのだ>  


Posted by nakao at 18:02Comments(0)芸術