2013年11月15日

ありがとう観行

<ありがとう観行> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 はがき大の紙
 御堂筋のど真ん中で
 一人一人に
 手渡している青年
 少しネクラかもしれない
 紙面には
 こう書かれている

 ありがとう観行

 天さまありがとう
 お父さんお母さんありがとう
 家族のみなさんありがとう
 人類すべてのみなさんありがとう
 今日一日ありがとう
 最高です

 昨今の若者は
 戦争のないのをいいことに
 しょうもない個人の
 欲望感情娯楽に
 専心するばかりであるが
 中々大した行為だ
 この紙は
 紙自身にエネルギーがあって
 すんなりカバンに入れられ
 電車にゆらゆら
 机上にやって来た時
 いかがと機嫌を取るまでもなく
 セコい詩人に
 利用される運命にあった
 ありがとう  


Posted by nakao at 21:53Comments(0)芸術

2013年11月15日

お婆ちゃんの柱時計

<お婆ちゃんの柱時計> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(42)

 「お婆ちゃんの柱時計」 山本なおこ詩集 2013年 竹林館 1500円+税
                           A5版 39篇 104頁

        「かなしみ(一)」

<きょうもまた かなしみがさえずりだす

 きのうよりもっと痛く もっと激しく

 何がどうということではない バラの花が咲くように

 かなしみが咲くのだ こつんとこの胸の底に>

        「めぐりあい」

<人差し指を空にかざせば 糸トンボの止まるような

 ちょうちょの止まるような こころすべてが愛おしい

 明日あなたは何を食べるの 明日あなたは何を着るの

 明日あなたは誰と話すの こころ全てが愛おしい

 あなたがそばにいてよかった いまこの時が

 すべての宇宙のはじまり 生きているすべてが愛おしい>

      豊かな自然環境で育った者は
      それ自体宝であるが
      暮らしに愛をもってすれば
      日々のあらゆるものは輝く
      それはまさしくそこにある
      大自然ではなかろうか
      ひとつひとつのものは
      そして美しいシンフォニーを
      聴かせてくれているのだ
      哀愁はスパイスのごとく
      巡り合いは必然として
      思いやりは深く深く
        


Posted by nakao at 21:24Comments(0)芸術