2013年12月10日

いちかわかずみ新詩集

<いちかわかずみ新詩集> 記 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(44)

 「アオイカゲ」  いちかわかずみ詩集 2013年 ウイング出版部・モデラート叢書 1200円+税
                         B6版 20篇 88ページ

        「海の一粒」

<空を抜け出した雨粒は どこへ行くのだろう 仲間といっしょに降りてきたはずなのに
 気がつけば たったひとつで山にいた 山に降りていく川に出会った 川の流れに身を
 任せ 流れのままに 漂った 滝になったものを見た せせらぎになったものもいた
 大勢の仲間とダムに眠るものもいた みんなどこを目指していたのだろう ぼんやりと 
 遠ざかる意識の中で 見た景色は数えきれない仲間たち

 大いなる紀伊の国の さざ波寄せる浜辺で たゆたうあなたを見た きっと どこかで
 私と すれちがったはずだ 

 遠い記憶の中で ささやきかける>

      詩人の幻は、幻ならず異次元の存在を示唆する。
      感情の翼がその羽ばたきの波風で、意識波動を
      高揚させるからだ。きっかけは何でもあるが、この
      詩人の場合は伴侶の死。美しい想念が哀しみを
      帯びて、後を生きよ生きよと囁き続ける。

      あらゆるものは生かされて生きている。生きることと
      死は一体である。存在を森羅万象を深く深く見つめ
      るといかなるものにも超我なる我はある。梵我一如。

      魂の真実の気付きの貴重な一冊!!
      恐るべし詩人の直観!!  


Posted by nakao at 17:21Comments(0)芸術