2009年07月10日

あなたの人生を至福にする百の詩集(4)

<<あなたの人生を至福にする百の詩集(4)>>

  まどみちお全詩集       理論社 4854円+税 

 まどみちお。「まど」に「みちる」空。「まど」に「みちる」★星。「まど」に「みちる」幸
せ。宇宙と自らの心が一体である満ちた心で、書かれる詩は、読み手の心をも満た
す。ははーん成程と、大人は何度頷くだろう。あはははと子供は何度笑うだろう。人
間の出自の大元を思い出させる「木」。存在や生命の源に立ち戻らせ、現代人の失
われた一番大切なものを回復させる作が多い。

  「木」
どうして なつかしいのか はじめて見る けしきの中の はじめて見る 木であっても
木は  そうか この地上に おりてきて ぼくらが暮しはじめたのは つい このあい
だのことだったのか  そのまえの だれも おぼえていない 幾千万年 雨 風 雪
の ぼくらの暮し ------------

 現代詩やでーと言う、異論.正論はあるものの、童話として「国際アンゼルセン賞」受
賞。90歳を越えなを書き続けるパワーは、一体どこからくるのだろう。
 
 「うさぎ」
----うさぎでございます と いうように うさぎの ほうが きちんと すわるものだから
そらの ほうも のはらの ほうも きちんとして むかえているよ ------これは これは
 うさぎさんですか----と
 「リンゴ」
リンゴを ひとつ ここに おくと リンゴの この 大きさは この リンゴだけで いっぱ
いだ  リンゴが ひとつ ここに ある ほかには なんにも ない   ああ ここで 
あることと ないことが  まぶしいように ぴったりだ

 

  


Posted by nakao at 15:49Comments(0)芸術