2010年05月04日

アゲハの舞台

< アゲハの舞台 >  記 中尾彰秀    詩人・ピアニスト・ヒーラー
                           アフラック代理店中尾直司

  -------あなたの人生を至福にする百の詩集(43)------

      「アゲハの舞台」  立山澄夫詩集  竹林館 定価2000円+税
                           平成15年出版 A5版 117頁 32篇

  青野健氏による表紙絵のアゲハ蝶は、余りにも美しく蝶の不可思議さを醸し出している。
 それは、しなやかで大自然を内にもつ美しい美しさだ。ちなみに、南方熊楠の粘菌にせよ、
 この地球の様々な生物は、人間の物差しではとうてい推し量れぬ不思議さを持っているが、
 定型詩に、律儀さと知ったかめっちゃかさを抱かせ、なぜかしら懐かしさの込み上げる詩群に
 拍手するのである。

        <アゲハの舞台>

「ヒト里とおく 葉うらにひそみ 四季をたずねた 砂時計 俵をくぐり 羽根の天使へ 時空を
跨ぐと メタルグリーン 
    いのちの充実を 藁筒に封じて 太陽と雨と緑 あまりに大きい飛躍 味わう前に 跳ね
   すぎる命 自覚する前に 輝きすぎる羽根 
       花にに止まる煩悩が ときに留め針 とも知らず 弥陀の来迎で 樹冠にひるがえり 
      扇をかざして すべる町の屋根
         鱗粉の綺羅を 陽にかえし さだめない軌跡は ミシンの針あと 刻々 風の想い
        をのがれ しのび音が 植え込みをおそう
            パンジーがふるえる 芙蓉が凍る 寝ざめの歓喜の せつなさに うずまいて
           注がれる口器のうねり 小袖の性紋を 傾く日がなでる
               青い日なたは フェロモンのかげり 無余涅槃の 枕がころぶ縁先
             
             はかない歌を したためる間にも うたかたと かげろうは紛れる」
         


Posted by nakao at 18:02Comments(0)芸術