2010年12月20日

救急車と霊柩車

<救急車と霊柩車> 詩 中尾彰秀      詩人・ピアニスト・ヒーラー

  ほんの一息の間
  救急車と霊柩車に
  擦れ違った

  救急車は単独で
  急いでいた
  霊柩車は金魚のあれみたいなもの
  五六台くっつけ
  ゆっくり走っていた

  前者の無事回復を祈り
  後者のご冥福を祈る

  それにしても
  今日は誰しもが高まる日なのか
  急ぎもゆっくりも
  排気ガスは青くうねり
  上昇している

  昨今健全に生きていても
  救急車より速く走ったり
  霊柩車より派手な暮らしをする御人が多い
  中取って適当車とばかりに
  カブを走らせる

       初出 「詩を朗読する詩人の会”風”」
           2010年12月19日  


Posted by nakao at 16:56Comments(0)芸術