2013年05月19日

ゴヤの絵の前で

<ゴヤの絵の前で> 記 中尾彰秀                 詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(17)

 「ゴヤの絵の前で」 水崎野里子詩集 コールサック社 2010年 2000円+税
                                   A5版 29篇 128頁

       いまだに日本人が外国へ行くと、戦争がまとわりつく。
       戦争責任が問われているのではない。今ここにいる本
       人がやったのではないから。戦争に関する資料館ばか
       り行けば当然のこと。ゴヤの絵もそういうすごい絵との
       こと。いやがおにも人間は歴史を背負う。日本人だから
       日本の戦争ではない。地球のあらゆる戦争に我々人間は
       責任がある。例え、防衛であろうと侵略であろうと。防衛は
       既にそれ以前の昔に、侵略を終えているだけのこと。

       大切なことを忘れてはいけない。生きるとは今生きるとは、
       今ここに遥かな無限を生き無限の静けさを生き、愛と平和
       に満たされた現在を作ること。

              「遠い声」

<遠い声 いつも私の心の奥底から響く  忘れている 日常の中で
 でも 家に帰った時 何もすることがない時 突然 それは甦る
 いつもというわけではない 一年に一、二度くらい でも それはずっと
 私と共にある 恐らく そして私がこの世界から去る時まで

 小さい時 父は読んでくれた いくつかの日本の童話 頭上の本棚に
 手を伸ばし 父は古びた全集から一冊選び 埃を払い ページをめくり
 思うまま 読んでくれた 父が子供の頃読んだ本 児童文庫と父は言
 った そしてゆっくりと読んでくれた 息をつきながら

 白い木こりと黒い木こりがおりました・・・・・・

 私にはわからない どうしてその声がいつも私と共に在るのか
 それは私にとってぼんやりと 私達の言葉の遠い泉として湧き出る
 それは 私達のもの 父の優しい語り 父は気が短く 時々私は
 怒鳴られた でも その声だけはいつも優しい そして 私はいつも
 帰って行った 異国にいても 異国の言葉を話していても その遠い
 声に

 むかしみかし 白い木こりと黒い木こりがおりました・・・・・・>  


Posted by nakao at 11:56Comments(0)芸術