2012年12月10日

故郷

<故郷> 記 中尾彰秀                 詩人・ピアニスト・ヒーラー

 いつでも行ける距離に
 我が生誕地はあるから
 わざわざ行かなくとも
 いつも通過している
 いつも帰省している
 いつも思い出している

 幼少時のツギハギだらけの記憶は
 しかし時に鮮明に闊歩する
 うんこちびって泣きながら
 家に連れ帰ってもらった幼稚園時代
 明くる日はもう昔のことのように
 けろり忘れ気にしていなかった
 出てしもたなという触感は
 妙に心地よいものであるが

 七回生の大学卒業前の春前
 単位一つ落ちてるでと
 インド帰りの不詳の息子に
 コネで就職あるでと
 羽田空港まで連絡に来た気丈の母は
 今は87歳
 もう1年数か月寝たきりだ
 人間の生き死には
 神様の采配
 何事もどう受け止めるかは
 人間の采配
 苦しみを軽減することは
 私には出来ないが
 どうか私を
 誇りに思っていただきたい

 故郷にいつもいるから
 毎日帰省しているにせよ
 日本はどこもかしこも故郷だと
 インド帰りの飛行機を
 降りたあの時実感した
 j今もそれは変わらない  


Posted by nakao at 16:54Comments(0)芸術