2010年11月29日

何となく

<何となく>  記 中尾彰秀      詩人・ピアニスト・ヒーラー

  ずうっと居眠りしていた
  ふっと目を開くと
  どこの駅かわからぬ
  しかし
  何となく
  身に覚えのある落ち着き
  赤糸一本張られた
  空気の粘り
  躍動感が
  風の背後に食らいつき
  得も知れぬ虫が
  疾走する
  プラットホームの足元には
  私の影の片隣のごときシミ

  尾崎と思ったら
  やはり尾崎

  特徴の説明は出来ない
  名札を見たのでもない
  若かりし頃の17年間
  消防署の隣の某局へ通っていた
  それだけのことがある
  日本高度成長期の
  最後の絶好調時代は
  華のごとく  


Posted by nakao at 17:51Comments(0)芸術

2009年11月01日

カメラ・オブスキュラ

<<< カメラ・オブスキュラ >>>  詩評 中尾彰秀  詩人・ピアニスト・ヒーラー
                                    ライフコンサルタント

  -------- あなたの人生を至福にする百の詩集(26) ---------

      尾崎まこと詩集 「カメラ・オブスキュラ」 竹林館 定価2000円+税
                               2007年出版、A5版、180ページ

          「袋」

<ふくろのような 子犬を抱える たましいが いっぱい つまっている>

         「廊下」

<アスファルトと コンクリートで覆ったので 人間は忘れてしまった
呼び出されて 立たされていること 宇宙の廊下に>

         「再会」

<一日の 終わりに 胸の橋の上で 僕の右手と 左手が 出合っている
この痛ましさは なんだろう>

        内に大自然持つ心が、傷付きなお生き続ける。
       かなりひねって出てくる言葉は、噛み砕かれてから
       、ジワリ、光を帯び一層癒しの力身に付け。
        ブログ版「尾崎まことの詩」
       http://blog.goo.ne.jp/ozakimakoto
         


Posted by nakao at 10:44Comments(0)芸術

2009年06月29日

天使のためいき

  << 天使のためいき >>      詩  中尾彰秀  

  
  いるのですよ 天使が

  朝公園で出会った

  88歳のおじいちゃんのまっすぐ伸びた背の
  
  右の先っぽ

  青い湖が静かに拡がる

  小鳥はチラリそこを覗いて

  仲間への連絡終えてから

  エサ探し

  時たま姿をくらますおじいちゃんは

  素裸のまま湖で泳いでいる

  白髪は一層透明に輝いて

  肌は薄緑帯び

  得も言われぬ芳香漂わし

  戻ってくると

  ゆっくりゆっくり指をさす

  ほらそこここに羽根の生えた

  
  朝泳ぐ老人はニュースにならないが

  朝刊にはズラリ

  人間の戯言が載る

  私は今日一日身も心も軽くなって



    


Posted by nakao at 15:39Comments(0)芸術