2012年01月07日

Vieの焔

<ⅴieの焔> 記 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(42)

 「ⅴieの焔」 佐古祐二詩集 2001年 竹林館 2000円+税 A5版 97ページ 31篇

 表紙裏にある副題---------「無窮の天空に立ち昇る、ⅴieの焔」
 生きるという意思が精神となった、龍のごとき短文。

 今を精一杯生きることが希薄になった現代は
 甘えて心の奥の神秘を切った実存感が
 不在を誇らしげに語る。
 正にそれと反対の・・・・・。

 情念である焔
 神秘の内側に入ったものではない
 いまだ生と死の対峙
 緊張の糸の上を渡る
 前衛や波動に至らず
 抒情-心の極限に如立する。
 いかなることも受容する覚悟
 はたせるかな
 そこにとてつもなく美しいものが成立している。

      「Poesie」

<俺のなかに ひとつの巨大な星雲が 渦巻いている

 青くかがやく惑星は 轟轟と音をたてて回転する 陽が昇り
 性のかたちをしてprominenceが燃え躍る 波打つ緋の海に
 セクシュアルな曲線が漂い 俺の精神が 垂直に射精する

 その時 ストイックな詩の一行が 俺のまんなかに 降りてくるのさ>

      「感情」

<病を得ている お陰で見えないものが見えてくる 情熱がさびしさを
 深まらせることがあるように 死が生きることとひとつのものであるように
 よろこびはかなしみと地続きであることも すべては生の原初において
 はじまるのだ

 オイゲン・キケロのバッハを聴いていると 俺の中で浮き立つように激しく
 名ずけようのない感情が噴き上がってくる  初めて地に立つ子どもを
 目の当たりに見たときのように>  


Posted by nakao at 17:22Comments(0)芸術