2011年06月06日

詩人武西良和

<詩人・武西良和> 記 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 武西氏の詩の想念は
 人間及び世界を
 意識体として捉えるが故
 常に意識を超えてある存在そのものから
 突き放される実存感
 あるいは孤独が付きまとう。
 この精神の地平は
 むしろ多くの人々の共感をそそる
 実存はそもそも
 とてつもなく大きな深い
 来るべき創造を予感させるものである。

        「馬頭琴」

<糸の揺れが 夕陽の沈みかけた大平原に 鳴り響く
 
 楽器から出た音は 猛烈な勢いで 平原を 駆け抜けていく

 昼と夜との間に音の 通路を見つけたが 長く続かない

 一目散に駆けていく 勢いに馬も 圧倒されて立ちつくす

 老夫婦と 青年の間に座って若者は 楽器を弾いている

 夕陽が沈みきると 音の通った道を 急速に寒さが向かって来る

 ぴゅうぴゅうと 放たれた矢>

     武西良和個人詩誌「ぽとり」第22号

    音の通路--------神秘の中に入り込もうとする
             意識の表現は的を得、惚れ惚れ
             させられるものの、あらゆる存在は
             存在であるが故全て音の通路である。  


Posted by nakao at 18:48Comments(0)芸術