2011年06月18日

福島原発難民

<福島原発難民> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(15)

 「福島原発難民 南相馬市・一詩人の警告」 コールサック社 2011年 1428円+税
            若松丈太郎著 B6版 160ページ

           「赤い渦状星雲」

<動物たちがいる 子いぬがいる 仔うまがいる 放たれた矢に狙われているのはいのししか
しかか かもしかかもしれない 動物たちがいる 墓室のそとの山野に描ききれない動物たち
がいる 

人びとがいる 弓を射る人 うまに乗る人 立っている人 弓を射そしてうまに乗っているのは
少年だ 描かれた人物像は被葬者の生涯を表現しているとされる きみたちがそうであるよう
に少年時代の被葬者も山野を駆けまわって動物たちと遊んでいた

ベニガラで描かれた壁画の中心は だがなんといっても 巨大な渦巻だ ぐるぐるぐるぐるぐる
ぐるぐるッ 直径八十センチもある七重の渦巻だ さすがのきみたちもこんな大きな〇をもらった
ことはないだろう 巨大なはてな はてなはてなはなにかな 

F小学校のきみたちよ きみたちの学校をつくるとき 千三百年のむこうからタイムスリップして
きて きみたちに投げかけた壁画のはてなについて 千三百年むかしの人びとのメッセージに
ついて はてななんだろう きみたちは考えたことがあるだろう 

清戸迫76号横穴墓奥壁ベンガラ塗彩壁画 ベンガラは三酸化二鉄を主成分とする赤色顔料だ
すでに鉄の時代に入っている七世紀 鉄の時代は武器の時代であり権力集中の時代だ 大陸
の西方ではコンスタンティノポリスを都とするビザンツ帝国が 版図を誇る 大陸の東方には長
安を都とする唐帝国が成立した 大和では大化のクーデターがあって中央集権化がはじまった
朝鮮半島でも新羅による国家の統一がすすんでいる (こうした集権国家の成立は人びとにとっ
てはたしてしあわせなことだったのだろうか)

立っている人の肩につながる渦巻 肩口から天にたち昇っているのだろうか 肩口に天から
降りくだっているのだろうか きみたちはどう考えるか 千三百年むかしのメッセージを

肩口から天にたち昇っているのなら 渦巻は立っている人の気のようなものか

・・・・・・・・・・・・・・・爆発する光の渦・・・・・・・・・・・
きみたちはどう推理するか 千三百年むかしのメッセージを>

      大自然の中に光あり。愛と平和の魂に支えられて
     ひかりはひかりであり、社会も社会である。もちろん
     人間も。方向の間違ったものは、百害あって一利なし
     と言いたいが、間違ったものでも一利や二利はあるの
     で騙されるのだ。
 

  


Posted by nakao at 18:17Comments(0)芸術