2013年10月07日

砲台跡

<砲台跡> 詩 中尾彰秀              詩人・ピアニスト・ヒーラー

 そこかしこの位置は
 位置そのものが
 とある抽象美
 どんな言葉を発している
 脳髄を貫通するがごとく
 囁かれる囁きよ

 そこかしこ
 足元に分散する
 薄黒い破片
 まだもっと小さく
 破れて砕けて粉になって
 風にさらわれ
 光になりたいの
 結局私は使われなかったけれど
 威厳の渋いあり方には
 もう飽きた

 一片たりとも戻りたくない
 人間のエゴのこしらえた
 人殺し道具のはかなさ
 スッコリ透き通った
 無数の星の瞬く真昼
 本当の大元に還りたいの

 今は人の住まぬ
 観光の島で
 ひと風ごとに
 囁かれる囁き
   


Posted by nakao at 17:24Comments(0)芸術