2010年03月09日

あなたの人生を至福にする百の詩集(36)

<あなたの人生を至福にする百の詩集(36)>  記 中尾彰秀

   2009年11月第三日曜日「詩を朗読する詩人の会”風”」第396回
   ゲストは 安森ソノ子さんでした。

   京都という風土・歴史をこよなく愛する京女の詩たちは、やたら観光化
   される世界に注意を呼び掛ける。人々は、何かを見逃しているのだ。

   自分自身を、魂を、精神を・・・・。

        「花背峠」

 <標高837.2メートル 南のかなたに京都盆地 北へ下った山あいに花背の村
  花の都を背にした夏涼しい山里を 古の人々は 花背と呼んだ 平安時代も
  長い歳月を経て 貴族政治が栄華の峠をこすと 京の都から花背峠を越え
  願いは経文の姿で 貴族の手で山へ納められた 来世の光明を祈り 平安時
  代末期の仏教思想が 村の西側の尾根近くに 埋められた 遺る”花背経塚”
  出土品を 土中から現われた仏像の気迫を 京都国立博物館で見る度に
  峠の白い花々が はらはらと頭上に降る 山の霊気が 私に語る 
  
  その峠にしか住まないという蝶に導かれ ペンは街の騒音 繁雑な日々に抗して
  記憶の峰へ 谷へ歩き始め・・・・・ ほととぎすの声に続いて 「現世にいる間に
  見つめなさい。織りなさい。 明治 大正のことは聞き 昭和 平成の様子は書け
  ないの?」と 野鳥が行く

  花背峠 幾度越したか数え切れない 命ある限り越す花の都を背にした峠 墳墓
  のある里へ ハンドルをきる度に  「土着」の蒸発を否とする一種の不運は 「さす
  らい人」の自由な選択に 尽きぬ憧れを抱かせて

  それでも 子に「捨てて良し」と言えない 見直させたい 私と子孫を待ち望む
  ふるさとの営み 伝統 山河の史実>  


Posted by nakao at 13:41Comments(0)芸術