2010年04月24日

無限旋律

< 無限旋律 >  記 中尾彰秀    詩人・ピアニスト・ヒーラー
                         アフラック代理店中尾直司

  <あなたの人生を至福にする百の詩集(39)>

 森ちふく詩集 「無限旋律」 鳥語社 1700円+税 A5版 52篇 出版2010年

 教育は大人の知から発するがゆえ、いつの時代でもずれる。そもそも、詩と音楽は
 別々にお勉強するものではない。詩と音楽は、等しいのである。独自の詩には、独
 自の音楽が内在する。

 生きる事の狂おしさが、いぶし銀の輝き----「陶酔の毒」----を持って至福となる。そこ
 に内在する旋律、「無限旋律」。奈良に暮らし、世界を愛でる郷土の詩人。大衆に読
 ませるベンチャラを排した硬質の、哀感溢れる詩群は情念の海を歩き続ける。

       「熟れた球体」

<風がよぶ 野の道 草のように生きて 野の風が呼ぶ    
       むせるような 実のりの  あの風が呼ぶ 明日香路で
           ふとみつけた ほおずき
 青い衣を氷解して 涼しげに刈りこまれた すだれ模様のふくろの中
       熟れた小さな球体
 そっと そっともみほぐして こわれないように 口にふくんだほおずき
       頭蓋に響く寄好な音の楽しさなんて もう誰も知らないだろう
 風が呼ぶ野の道 草のように生き 草のように 枯れたいと>  


Posted by nakao at 18:18Comments(0)芸術