2012年02月05日

風の精のいたずら

<風の精のいたずら> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 どんなことがあろうと
 捨てたものじゃないよこの世界

 気付くか気付かないか
 何の理由もなしに
 感謝の心を持つと
 ブーメランのように
 帰ってくるものがある
 神様のいたずらか何か
 分からないが

 ただ一つ言えることは
 物質的な心の次元には
 物質を超えた最も大切なものが
 やって来ないってこと

      「風の精のいたずら」   三浦千賀子

<風が強く 木漏れ日がキラキラと 映える朝だった

 バス通りを歩いていたら 後方からバスがやって来たので 慌てて
 停留所めざして走る

 足の悪い私が 走っても追いつかない ああ 今日もダメか と思っていたら

 バス停にいた 背の高い青年が ふと私の姿を認めた 

 それから 彼の動作は スローモーションになった バスが止まっても 乗降口に
 足をなかなかかけない

 私の方を見ながら ゆっくりしている ---大丈夫 と言っているように

 青年を目の前にしたとたん 彼は乗り込んだ まなざしの深い若者だった

 それはほんの十秒にも満たない 短い時間だった

 ここは風の通り道 木の葉がくるくると転がる 

 あれは風の精の 粋な いたずらだったのだろうか>

        詩 三浦千賀子   「野の花」第16号より  


Posted by nakao at 18:00Comments(0)芸術