2012年04月13日

詩誌「伽羅」

<詩誌「伽羅」5号> 記 中尾彰秀             詩人・ピアニスト・ヒーラー

 詩とは、しんしに生きること。
 なお、認識を持って世界を変質させること。

 神事への興味をうかがわせる冒頭の写真は
 ふっとそんな言葉を想起させる。

 やたら分析・理知・神秘を世界の外にしか見ない実存の寂しさ
 欧米の文化芸術の影響が多過ぎて、疎外されたままの心
 現代のそういった傾向とかけ離れ
 地道に内なる自然を見出していこうとする
 この詩誌の詩人達の作風が魂を打つ。

 今号で特に注目したのは、
 「大阪の戦争(1)」
 昭和19年、18歳で兵役に就いた詩人
 桝谷優氏の手記。
 もうあと一年足らずで終戦だから、たぶん実践にならなかったのか。
 しかし、大それた本土空襲と原爆投下が間もなくある。
 もし自分が、そうなったらどうなるか。
 ちなみに私は、終戦後7年で生まれている。
 原爆後たった7年!!
 にもかかわらず
 少し戦後と言うだけで、あまりにも冷たく戦争を
 忘れてしまった世代。
 気狂いしたかのごとき、日本の高度経済成長は
 見事にアメリカにはめられたまま
 何か大事なものを落としてしまったのだ。

 「伽羅」 5号 書肆るふらん 定価1000円
 発行 伽羅の会 編集 吉田定一 大瀧満 土屋秀昭  


Posted by nakao at 22:34Comments(0)芸術