2009年08月06日

あなたの人生を至福にする百の詩集(12)

<あなたの人生を至福にする百の詩集(12)>  詩評 中尾彰秀  詩人・ピアニスト

  「はたはたと頁がめくれ・・・」    新川和江詩集  花神社 2300円+税

 物事に十分な呼吸をさせている。自分自身の呼吸を転写させているのだ。ゆっくり呼吸をする
と、深く生命を受け止め、様々な邪心を乗り越え、本当の愛に至ることが出来る。現代という時
代は、経済成長と出世と勝ち負けと戦争と貧富の差と、多くの要素を持つ。が、もちろん、さらに
多くの良き所があって。何れにせよ、日常深き呼吸を心がける、この詩人に於いては、詩語も考
察もこの上なくやさしく浮上するのである。さあ、肩の力を抜いて、いのちの讃歌を読みましょう。
出版1999年、109頁、A5版、24篇。

  「春」
<いろんな現れ方をするものなのねえ この世に 地上に いのちたちは------    けさ  川
べりを歩いていて わたしは ことしの春の光のなかにうまれ出た たくさんの いのちに会いま
した   <<これはこれは  ゲンゴロウさまでございますか   <<これはこれは  アオイ
ロトカゲさまで・・・・・   ゆうべは 猫が 屋根の上で ぎょっとするほど人間にちかい声をあげ
ていたので 思わず袖をかき合わせました ごろにゃん!  とつい洩らしたのは わたしだった
のではないかと   で 宵ごしの恥かしさを 雪ごうとしての けさのお散歩です 水はきれいに
澄んでいます   <<これはこれは  シンカワさんでございますか   ほんとうに いろんな
造られ方をしているなあ これが わたしかなあ>





  


Posted by nakao at 14:26Comments(0)芸術