2010年05月13日

背中の目

<背中の目>  記 中尾彰秀   詩人・ピアニスト・ヒーラー

  あなたの人生を至福にする百の詩集(44)

  「背中の目」  細川治男詩集  自家版 非売品
                      A5版 146頁 詩とエッセイ

  律儀な現実主義。生きる事にガムシャラな、いわゆる社会的成功者。
 金融の世界ではきっと大先生であっただろう。日本の経済的地盤を作った
 大なる一人であったに違いない。

  それが生きると言う地平では、やさしい平凡な平和を愛する人間である。
 
  人生とは、過ぎてしまって初めて見えてくるものなのだろうか。経験の蓄積
 が、ふと日常の隠れた癒しのドア--------存在の奥深さへの気付き-------を開く。

         「眠る」

<仰向けに寝る 両手両足をのばし 大の字で寝る 
   この無防備な 解放感 
     父の声がきこえる
         
        横になって まるくなって寝る 大切なものを 抱え込むように
          あたたかな このやすらぎ
            母の声がきこえる

               生きている たしかに 重いのだ いのちが
                 だから 上向き 横向き こらえ性もなく 動く
           
              目覚めのとき ふたたび大の字にかえる
                両手両足を 思いっきりのばす たしかな手ごたえ
                   
             生きている 生かされている よろこび>  


Posted by nakao at 18:09Comments(0)芸術