2012年03月12日

原爆ドーム

<原爆ドーム> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(49)

 「花鎮め歌」  結城文詩集 コールサック社 2012年 A5版 184頁 43篇
                            2000円+税

          「世界で一番」

<原爆ドームの鉄骨のあいだから 雲母のように降ってくる二月の光
 世界で一番かなしい光だ

 原爆ドームの鉄骨のあいだに透いて 見える真青の空
 世界で一番かなしい青だ

 原爆ドームの壁に降る雨 崩れのこった壁にしみこまないよう
 補強された煉瓦を濡らす 世界で一番かなしい雨だ

 青鷺が飛んできてドームにとまっている かの日四千度の熱で
 焼かれた青鷺の 十代のちの末裔 
 世界で一番かなしい鳥だ>

      詩の凄味とは
      説明のなさ
      抒情であろうとなかろうと
      波動であろうとなかろうと
      リアリズムであろうとなかろうと
      シュールであろうとなかろうと
      何がどうのこうので
      うれしい悲しいは
      詩でなく説明

      そのきわどい一点に
      詩人は言葉を立てる  


Posted by nakao at 17:57Comments(0)芸術