2011年02月22日

魂の冒険

<魂の冒険> 記 中尾彰秀            詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(1)

 「石佛に向かう」 薬師川虹一 詩と写真集 2006年出版 洛西書院
                    詩32篇 写真32点 定価2500円
                    B5版 71頁

 この詩人は、各地の(主に京都)石佛の写真を撮りながら、詩作と言う魂の
 冒険旅行をしているのか。
 「天上の調べ」「お団子」「埋もれた時間」「異界」「安らぎ」「恐竜」他。
 この達人は、詩において、理屈で説得しようとも心の分析をしようともしない。
 言葉の流れの風情の中に、世界の苦しみも哀しみも喜びも全て含み描かれ
 ている。そして、私の眼裏にはありありと浮かぶ。時に存在の有と無の境を
 超える危険をかえりみず、ワクワクしながら少年のごとく魂の冒険をしている
 姿が。
           「燃える石佛」

<なんと言う穏やかなお顔 恍惚としたその表情には 今まさに訪れようとする
 至福の時を待つ 柔肌の女性を思わせる その実は硬い御影石 奥底からひ
 そかに沸き起こる 熱い大波があなたの全てを 飲み込む寸前の 動乱に耐え
 ている ふっくらとした頬には 苦しみにも似た 悦楽が漂っている なんと言う
 艶めかしいお肌 風雪に磨かれて 清らかに輝く胸 今すべてが朱鷺色に染ま
 ろうとする 瞬間を待つ>
   


Posted by nakao at 18:24Comments(0)芸術