2010年09月08日

同窓会

<同窓会>  記 中尾彰秀     詩人・ピアニスト・ヒーラー

 あなたの人生を至福にする百の詩集(71)

 「無限旋律」    森ちふく詩集  鳥語社  1700円+税
               2010年出版 A5版 53篇 122頁

 世の中、良くある質問。
 詩は、どうしたらうまく書けるんですか。
 真面目腐って、とある詩人は答える。
 これこれがどうのこうの、スットコドイ。

 上手く書こうとしていい詩は、出来たためしはない。
 詩を書く前に、人間でなくてはならない。
 魂の突き抜けた、天使でなければならない。
 それを忘れて、ちゃんとした詩は書けるわけがない。
 音大性がいくら譜面を覚えても、素晴らしい音楽とはならないのに等しい。

 ここに、詩を書きたくて書いたのではない素晴らしい詩がある。
 生かされた瞬間の強烈さに、自らはじけ飛んで、
 いつしか言葉となった詩。

      「同窓会」

<ことばにならない ざわめき 青春と敗戦を背中に 張り付いて生きてきた道
 空腹でキュウリをかじり合った 寄宿舎の仲間 深い井戸からはい上がった
 きずなは五十年をさか登る 高速エレベータ。 

 言葉を探すこともない ただ抱きあって 元気だった と てらいのない笑顔が
 せ―ラ服の乙女にもどって 青いモミジの手をからめ合った あの頃の匂いを
 かいでいる。 

 今も あの深い井戸で生きている 年令を確かめ合って 一年先の手形の青い
 葉に 雨がはじける音を聞きながら ちかい合う 再会。>  


Posted by nakao at 18:21Comments(0)芸術