2009年08月05日

トンビがクルリ

<<< トンビがクルリ >>>    詩 中尾彰秀  詩人・ピアニスト
                                 関西詩人協会会員

  ヒュー ヒュー
  チタンマフラーのフェラーリが空を飛ぶ
  我が家は比較的海が近く
  トンビの輪舞いだ
  
  とある風の吹き回し
  今日の君は
  鶏にも鼠にも猫にも眼もくれず
  運命のごとく私とセッションする
  君は食欲の罠から外れ
  私は文明の罠から逃げ

  ヒューーーンと高音の立ち切れる際
  地上の者の有と無の境界瞬時に見極め
  人の波動エネルギー
  かつて気功の先生は私から音楽が聞こえると言ったが
  君の眼識はいとも容易く時空を超える
  トンビなる数千年の野生のいのちの重みにピタリ重なり
  私はドロローーーンと高から低、低から高へと
  ツズレオレに鍵盤を疾走

  ヒューーヒューー ドロローーンドロローーン ヒュードロンヒュー

  森羅万象の奥まりに座す静かな空に合掌しつつ
  今日きっとたくさんの良い事がある
  ずっしりとした落ち着きがやって来て
  優しき瞳にしかと抱かれる
  そろそろ終奏はソロで天降るメロディ
  フェラーリはゆっくりと和歌浦の空へ

  


Posted by nakao at 11:35Comments(0)芸術