2011年01月14日

塩っ辛街道

<塩っ辛街道>  記 中尾彰秀        詩人・ピアニスト・ヒーラー

 あなたの人生を至福にする百の詩集(95)

 「塩っ辛街道」  司茜詩集 思潮社 2010年出版 A5版 30篇 127ページ
                        2600円プラス税

 過去の出来事を背負って
 悲哀の滲み出す詩群
 それにしても
 過去の出来事とは
 単に経験体験でなく
 それら一切を含蓄する
 風景なのではないだろうか
 今ここにそうある
 風景の雄弁と奥深さ
 我々が今と思っている
 その本体は実は
 これまでの結果であるにせよ
 無為に只ここにある状態に
 自然の魂の源が
 あるのかもしれない

    「葉桜」

<公園の一本の 山桜も散って 葉桜になったが

 今日も 正午を過ぎると どこからともなく 背広姿に紙袋をさげた 
 若者がやってきて ベンチに座って 桜を見あげている

 見あげたぶんより長くうつむいて

 やがて 紙袋からシャボン玉をとりだして ふうわり とばしている

 いつのまにか 男が 傍らのベンチに座って シャボン玉を見あげている
 三人 五人とでてきて シャボン玉を見あげている>  


Posted by nakao at 17:34Comments(1)芸術