2010年06月05日

ぽとり

<ぽとり>   記 中尾彰秀

  あなたの人生を至福にする百の詩集(49)

  季刊  「ぽとり」  10年夏 第18号 武西良和 個人詩誌
              特集「舟・船」 2010年出版 非売品

     「浜辺」

<木々の間に波の 音を聴いていると

 自分のなかから すべてのものが 持っていかれ

 自分のなかに あらゆるものが 入ってくる

 森が切れ うち寄せる 白い波を見ていると

 あらゆるものが押し寄せて 自分のなかへ 入ろうとしている

 そして 自分のなかの不要なものをすべて 遠い彼方へ

 運び去ろうとしている

 絶えず 不要になったものがあるだろうと 探し回る

 廃品回収車のように>

     梵我一如とは、森羅万象・宇宙の摂理と
    人間の奥域は等しいという古来インドの思想。
    現代流行りのヒーリングや癒しの根本理念で
    ある。浜辺にやって来ると、誰しもがかくなる
    意識を持ってしまうが、これは、魂の一つが
    木片のごとく足元に打ち寄せたものだろう。
    ぽとり と音もなく。

        


Posted by nakao at 15:03Comments(0)芸術