2009年08月20日

あなたの人生を至福にする百の詩集(17)

<あなたの人生を至福にする百の詩集(17)>    詩評 中尾彰秀   詩人・ピアニスト

  「コーヒーカップの耳」    今村欣史詩集   編集工房ノア 定価2100円

 喫茶店の店主が、カウンター越しに聞いた話を基に、関西弁で語る詩。ユーモアとペーソスが
あり、肩の力を抜いてすんなりと語られる。人には中々言えない、やたら書けない、戦時中の事
も含めた35のストーリーがあり、それぞれ人生の主人公は語り主。なんとも言われぬ、哀しさい
とおしさに包まれる。ある種の救いの様な。

    「思い込み」
<コーヒー飲んどるんが見えたから 知らん間にええ喫茶店が出来とるな思たんやがな。
俺のダンプカーでも置ける広い駐車場もあったしな。 「コーヒーくれや」言うて座ったら女の
子が出してくれたがな。 大きな顔して新聞読みよったら「どちら様でしょうか?」て言いよる
んや。「何で喫茶店で名乗らなあかんのや」言うたら「ここは喫茶店と違います」て。建築会
社の事務所やったんやがな。この頃の事務所はきれいすぎて訳わからんわ。>
  


Posted by nakao at 17:03Comments(1)芸術