2013年01月11日

大切なものって何だろう

<大切なものって何だろう> 詩評 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(99)

 「大切なものって何だろう」   寺沢京子エッセイ集       竹林館 2012年 
                          32篇 B6版 200頁 定価1500円+税 

         文学書や体験などより、経済中心の社会に翻弄されることなく
        人間の持つ内なる自然に、誰しもが目覚めてほしいという希望。
        さらりと力むことなく純粋な眼で世界を眺めながら、平凡な暮らし
        を前提に、答えを急ぐことなく。

               「廃線のトンネル」

< 秋のある日、友人たちと、福知山線の武田尾駅から、旧国鉄の廃線跡を歩いた。
  トンネル続きの廃線跡が珍しいからか、武庫川をのぞむ景色が美しいからか、いま
 話題のハイキングコースになっている。
  明治三十二年に開通した線路。多くの外国人労働者たちが動員され、強制労働さ
 せられ、作業事故などで犠牲にもなられたという。トンネルの横に慰霊のパネルがあ
 ると聞くが、雑草が生い茂っていてわからない。
  長いトンネルは、ほんとうに真っ暗だ。足元も周りも先も見えない。懐中電灯で照ら
 して、友人たちに囲まれて歩くからこそ、何とか前へ進めるのだ。もしも一人なら、恐
 怖で心臓が止まりそうになるだろう。
  「お化けがでるぞ!」と友人の一人が脅かす。たしかにもしも犠牲になられた方々の
 霊があるのなら・・・・・・。
  人間にとって、自分が生きていたという事実を、自分がひたすら関わってきたことを
 すっかり忘れ去られてしまうのは、とても悲しいことだ。廃線跡をこうして訪ねる私たちを
 、霊というものがもしあるのなら、歓迎してくれているかもしれない。
  どれだけ多くの人の思いが、残されているのだろう。どれだけたくさんの方の「時」が
 刻まれているのだろう。
  過去を忘れるからこそ生きていけるのだけれど、時には過去を想うことも大切だろう。
 過去の人々をしのぶこと、むかしの足跡をたどること。
  「長いね・・・・・・先が見えない」・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  最後のトンネルをぬかると、まっ青な空がひろがっていて、その下に、長く伸びたすすき
 が自然のトンネルをつくり出していた。>

          いくら過ぎたことでも霊も魂も忘れはしない。謝ることと成仏を
         願う以外ない。祈りの心。人間の物欲と偏見は世界的にはいま
         だにあり戦争が絶えないのだが、いかに一人一人が平和と愛の
         魂を確固としたものとして持つか。持つべく運動を重ねていくか。
         権威や常識や習慣を超えてある内なる宇宙一体の愛の波動エネ
         ギーを実践することなのだ。答えは。  


Posted by nakao at 18:56Comments(0)芸術