2012年03月29日

ドクター・ビレッジの四季

<ドクター・ビレッジの四季> 記 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(50)

 「ドクター.ビレッジの四季」 風聾庵 発行者 千木貢・望月綾乃 2008年 1500円

       「空気」   高丸もと子

<いっぴきのアリが いっぴきの死んだアリを ひきずって
 ちょうどわたしの顔のまん前に さしかかったとき
 わたしは昼寝から覚めたのです
 何か声がしたようで>

       「朝つゆ」   高丸もと子

<草のすみっこで 揺れながら光っている あそこにも ここにも
 
 夕べまたたいていた 星くずが こんなところにも おりてきていたんだね
 
 そうだよ ここも星 風がよびにきたよ なでられるごとに 小さな雫は
 もっともっと小さくなり 

 消えていくことは なくなることではないんだ もとに もどるということ
 そっと だれにも気をつかわせないで>

       詩とは哲学であり宗教であり
       何とこんな簡単な言葉で
       色即是空 空即是色
       死するとは
       内なる宇宙が外なる宇宙になること
       自己中心の感情で
       意識を意識する実存で
       人間はやたら孤独を深めたが
       真実は宇宙一体にあり

       何れも「ドクター・ビレッジ」と言う
       富士山麓の別荘地で
       書いた詩でありましょう  


Posted by nakao at 18:26Comments(0)芸術