2012年08月03日

月の川

<月の川> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(68)

 「童子」  池井昌樹詩集  思潮社 2006年 2600円+税 A5版 141頁 47篇

          「月の川」

<屁の足にもならない かわがながれている かわのうえには ふるいふるい それはふるい
 はしがかかっている 乳母車をのばしたような ながいながい それはながい 御殿橋 めの
 ようなその虫籠窓から さしのぞくのはだれだろう 彼岸からまた此岸から だれの眼と眼が
 あうのだろう るいるいぞろぞろ 祖先がたから るいるいぞろぞろ 子子孫孫まで わらいな
 がら なきながら なきながらわらいながら るいるいぞろぞろ わたりおえると ふるいふるい
 はしよりふるい ながいながい はしよりながい かわがながれている 夜をこめて ひややか
 に えみくずれながら (屁の足にもならない) かわがながれている>

        至って実直な詩。秘密などどこにもない。
        極めて冷静に科学的に宗教的に普遍的に描いた
        屁の足などはにかんでいるが、もっと自分だけの
        本質を入れる必要がある。  


Posted by nakao at 16:29Comments(0)芸術