2010年12月18日

かき色の柿

(かき色の柿)  詩 中尾彰秀         詩人・ピアニスト・ヒーラー

 真夏の光をさも上手く遮って
 一瞬こちらに疾走する塊
 温涼しい今日の斜風の腰見事にかすめ
 めくばせする笑みよ
 少し眠たい昼食後の
 私のニンニク臭い吐息に
 辟易とするでなく

 一瞬こちらに塊疾走し
 宇宙ののヒモ解くがごとく
 私を見つめる私は
 私と共に身じろぎせず

 あなたの握りこぶしと
 同じくらいですね
 人間の強欲の政治は
 とくと私の一族---柿---を観れば
 きっと改善される
 カーキ カーキ カキ カキ カキ
 我々柿は柿であることを
 誇り高くずうっと百年千年と
 守っています
 これから私自身は
 鳥よりも先に
 人間に食べられるでしょうが
 私の堅い芯には
 あなたをも含めた
 宇宙のエキスが
 残酷な程優雅に
 詰まっています

 私が何者かに食べられることは
 私が解放されること
 私を食することは
 自らを食べること
 そしてその美味は
 誰しも体験したことがありません

 四角ばった
 少しいびつの
 かき色の柿
   


Posted by nakao at 17:49Comments(0)芸術