2013年03月19日

水月りら詩篇

<水月リら詩篇> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(7)

 「木枯らし」 水月りら  「詩マガジンPO」148号より

     <隙間から生まれてくる さみしさとよく似ている

      古くなるほど隙間ができている 納屋を叩く風音の
      糸屑のように沁みる沈黙 結露の吐いた溜息は
      こぼれ落ちてゆくほど 凍える軋みを吹き抜ける
      隙間から生まれたものは 隙間を縫うように 
      隙間を探し吹き抜ける どこかの遠い場所で
      物音を忘れた廃墟の轟音のように ひび割れに
      吹きつける

      はるかな遥かな過去は 誰かを愛していたと
      ひと粒の眠りを抱いて 隙間に風化を散らせている>

  見事に詩的に構築された心は、どこからどこへ行くのか。
  詩的な心の、隙間から隙間へ。隙間風となって。
  ひとつひとつの事象は実は、事象ではない。
  「余り風」とは、霊界からの言葉(魂)のごとき風。
  世界は三次元を超えてある。それが真実。
  物的リアリズムは、永遠に真実を逃がす。
  それは詩の問題ではなく、あらゆる存在の問題だ。
  源なる癒しには、一歩の距離を置いた作である。  


Posted by nakao at 18:49Comments(0)芸術