2013年08月16日

関中子詩選集

<関中子詩選集> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(32)

 「関中子詩選集151篇」 2013年 コールサック社 コールサック詩文庫(12)
                      定価1500円+税

      人間の感情は止揚されねばならない。
      そのまま悲しいうれしいの、これ見よがしでは
      テレビのドキュメント。感情の奥域に至って
      世界を宇宙を浄化する。そのためのエネルギーを
      内包させて初めて、詩は詩に、音楽は音楽に
      絵は絵に、芸術は芸術になる。
      あるいは人間は人間になる。
      そのエネルギーとは、
      哀しみを噛み締め、愛を宇宙一体にする優しさ。

      「枇杷になる日のために」

<風が吹くと めんどりの鳴き声が途切れる その日 枇杷の木の下で
 お乳をもらった山羊のおとむらいをした

 枇杷になるといいね 枇杷に 山羊を追いかけてふざけた子犬がほほえんだ
 そうだね みんな真剣だった 黙々と土をかぶせ乾いた涙の跡を風に触らせ 
 山羊を鎮めた 枇杷になれよ 山羊の白い毛よ もやもや土の下で騒ぐな>

       大人の童話は、神話になって魔法になって祈りになって。
       生命は人間の知を超えた遥かな遥かなここを飛翔する。
       それが日常以外の何物でもない。
       万物は宇宙一体の環なのだ。

  


Posted by nakao at 16:48Comments(0)芸術