2013年08月02日

志田静枝新詩集

<志田静枝新詩集> 記 中尾彰秀                 詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(29)

 「踊り子の花たち」 志田静枝詩集 2013年 コールサック社 A5版 48篇 160頁
                            定価2000円+税

        全詩温かい思いやりの鎮魂。
        延々とその平和を愛する詩人の生き様に
        胸を打たれる。
        果たして今の日本は
        思いやりの国であるのか。
        アメリカ式を引き込んだ
        弱肉強食の国にしか過ぎないのか。
        合理化合理化と
        利益を追求した物事のしぐさが
        きわどくも様々の社会現象にあらわれ
        人間の心を疎外している。
        消費増税やTPPは
        実は、貧乏人は早く死ね
        と言っているように聞こえる。
        原発の推進は
        再びの“神風”の号令にしか
        思われない。

        政治たるもの
        人間の生きる基本を
        見誤ってはならない。
        医食同源、大自然に生かされていること
        農産物自国自立、遺伝子操作食品の危険性
        農薬添加物の危険性、経済のために人間の魂を
        破壊して何が平和な日本であるのか!!

        花や野菜とのふれあいが
        忘れ去られていた人間の内なる大自然を
        取り戻せる。この詩集の
        もう一つのテーマである。

        「緑の糸」

<夏が近付くと一段と鮮明に あなたを想う 秋の日に出会ったのは 
  どんな意味があったのか問いながら 七十五歳の今になって私はふと思う
 あれは私に降る泡雪だったのかと きっとあなたと私の縁の糸は 定めだった
 のかもしれない ある友人は言った 恋の入り口だったのね と

 春浅く年端もいかない 小学五年生の秋に巡り逢い 四年数ヶ月後の初夏に
 コソネツヨシ君 陽炎の様に燃え尽きて 原子病に苦しみあなたは逝った
 こんなに短い命だと知っていたら もっと話をしていたら こんなにも私を虜になど
 しなかったはず

 どんなに時が過ぎても 空白の時間は戻らないけど 長崎に原子爆弾が落ちな
 ければ あなたが転校生としてこなければ・・・・・・

 今も時々ガラスが出るんだといった あなたの声が耳に残る ・・・・・
 ウチヤマ君とヨウコチャン  別れ道で逢いましょう
 いつか私が辿る星の国へ旅の途中に・・>




          


Posted by nakao at 16:44Comments(0)芸術