2011年08月18日

わが桃源郷

<わが桃源郷> 記 中尾彰秀           詩人・ピアニスト・ヒーラー

 みんなの人生を至福にする百の詩集(22)

 「異郷への旅」  直原弘道詩集 コールサック社 2010年  2000円+税
                      A5版 37篇 152ページ

 「異郷への旅」とは、東南アジアの某国への旅なのだった。
 そこは本当に異郷なのか、他国は誰が見ても異郷で当たり前だが、
 過去の日本を思わせる、愛着の込められた“異郷”。
 この日本の住み慣れた所は、何があろうとなかろうと、
 「わが桃源郷」なのか。

 多くの人々の危険忠告を無視した挙句、有り余る利権得て
 日本風土を破壊した原発。今やこの日本こそ異郷となったが
 再び桃源郷と果たして成り得るか、きっと成るに違いない
 いつしか。

            「わが桃源郷」

<丹波の鹿は お櫃の蓋をはぐって飯を食っていく という話を詩に書いたら
 但馬の山奥から葉書がきて 「うちの山では ムジナが台所に入り込んで
 冷蔵庫を開けて酒粕を平らげ 酔っぱらって寝込んでいる」と。 過疎の地は
 いよいよ 人も鹿も狢も共生して暮らす 桃源郷に似通ってきたのか。

 わがまち東神戸では 猪が街あるきしている。 生ゴミを漁り 餌を求めて
 うろついている 彼らに街角で出会ったりする。 挨拶代わりにと お尻に
 喰いつかれた女もいて ちょっとした新聞種になる。

 新聞種と言えば バイクに乗って出没し 一人歩きの老いた女たちから
 手提げ袋をひったくって逃げる出来事が 連日の紙面に埋め草のように
 出ている。餌つけされた猿の集団に取り囲まれ 弁当や帽子や眼鏡な
 どを ひったくられた覚えがある私などには その猿に似た習性の若者
 たちが 新種の生き物のようにも思えてくる。>  


Posted by nakao at 21:43Comments(0)芸術