2010年06月14日

夜の言の葉

<夜の言の葉>  詩人・ピアニスト・ヒーラー

  あなたの人生を至福にする百の詩集(53)

  「 夜の言の葉 」  近藤久也詩集  思潮社 2000円+税
                    2010年出版 A5変形版 89頁 23編

        「夜の言の葉」

<透明な しずくたらす だれかの息の音 

 まだうまれてこない想いに 視えぬくらいふるえている 産毛のさき

 待つという行為が こんなに素敵だった?

 裏に透けて視える葉脈は とても上品な秘めごと

 せかいのシンプルかつ、青くさい それでいてのろわしい脈絡を

 おもわせぶりにみせつけている 

 きみが所有しているとは気つかない それら

 過日、まぶしいくらい葉をしげらせていた 木のテーブルの足影などに

 ひそんでいるそれら>

     花あるいは植物への思いやりが、詩として浄化される。
    それはむしろ、大自然のありよう。所有ではなく、共にあ
    る、だろうか。花はきっと、見せるためでなく、自らに自ら
    が、酔っているのだろうから。
     美しいという言葉を使うことなく、美しさの内実に入ろう
    とする詩。「からだごと誘い込むやさしいおののき」


  


Posted by nakao at 17:36Comments(0)芸術