2010年04月09日
詩賛 大津絵
<詩賛 大津絵> 記 中尾彰秀
あなたの人生を至福にする百の詩集(38)
「詩賛 大津絵」 著者 村田辰夫 竹林館 1800円+税
A5版 67頁 19篇
大津絵とは、
「江戸時代の寛永年間(1624~44)より逢坂山付近の街道筋<追分>(大谷>
辺りで売られていた仏画、風俗画、戯画。護符、人世訓、諧謔に用いられる。
最盛期は元禄期(1866~1704)。「又平」が大津絵絵師の一般呼称。
「鬼の寒念仏」
<よっ 鬼さんよ 念仏行脚の鬼さんよ ちょっと立ち止まって聞いてくれ いまこの
世の澱み 歴史の交骨のさなか 一度でいいから お前のその胸の鉦の音を聞か
せてほしい 伊達や粋狂でそんな重たいものをぶら提げているのではあるまい さあ
右手の撞木で叩いてんか 夕なじむ街は霙もよう やがては吹雪もくるだろう
左手の泰加帳を濡らさないよう気をつけな 背中の傘はひらけるか 開いた姿を見た
ことないが 破れ傘 後生大事に背負いきぬ 己が才能 開いて見せる その時まで
は 閉じたまま 無闇矢鱈に開きはしない 開けば3界ことごとく 天まで見える破れ
傘 そう歯をむき出しに見せなさるな ずいぶん歯並びがわるいな 鬼歯の先が
尖がってる おやまあ 角が 角が片方へへし折れている お前も誰かにいびられた
んか 長くひん曲がった足の爪切ったらどうや 大寒の街に鉦の音響く 暮れゆく
道に 足跡残り 墨染め衣に 牡丹雪 偽善の鬼の ひとり旅>
和歌山は紀三井寺に、大津絵の教室がある。庭先に看板一つ
ちょこんと座して。本で知っていると言うと、奥さんはニコニコと一
作見せてくれた。が、所詮セールスで来たのはバレバレ、早々に
鬼は外とばかり、追い払われた。よく、蕎麦屋さんで見る、猫が
立って蕎麦を食っている絵などは、ひよっとしたらこの類か。
あなたの人生を至福にする百の詩集(38)
「詩賛 大津絵」 著者 村田辰夫 竹林館 1800円+税
A5版 67頁 19篇
大津絵とは、
「江戸時代の寛永年間(1624~44)より逢坂山付近の街道筋<追分>(大谷>
辺りで売られていた仏画、風俗画、戯画。護符、人世訓、諧謔に用いられる。
最盛期は元禄期(1866~1704)。「又平」が大津絵絵師の一般呼称。
「鬼の寒念仏」
<よっ 鬼さんよ 念仏行脚の鬼さんよ ちょっと立ち止まって聞いてくれ いまこの
世の澱み 歴史の交骨のさなか 一度でいいから お前のその胸の鉦の音を聞か
せてほしい 伊達や粋狂でそんな重たいものをぶら提げているのではあるまい さあ
右手の撞木で叩いてんか 夕なじむ街は霙もよう やがては吹雪もくるだろう
左手の泰加帳を濡らさないよう気をつけな 背中の傘はひらけるか 開いた姿を見た
ことないが 破れ傘 後生大事に背負いきぬ 己が才能 開いて見せる その時まで
は 閉じたまま 無闇矢鱈に開きはしない 開けば3界ことごとく 天まで見える破れ
傘 そう歯をむき出しに見せなさるな ずいぶん歯並びがわるいな 鬼歯の先が
尖がってる おやまあ 角が 角が片方へへし折れている お前も誰かにいびられた
んか 長くひん曲がった足の爪切ったらどうや 大寒の街に鉦の音響く 暮れゆく
道に 足跡残り 墨染め衣に 牡丹雪 偽善の鬼の ひとり旅>
和歌山は紀三井寺に、大津絵の教室がある。庭先に看板一つ
ちょこんと座して。本で知っていると言うと、奥さんはニコニコと一
作見せてくれた。が、所詮セールスで来たのはバレバレ、早々に
鬼は外とばかり、追い払われた。よく、蕎麦屋さんで見る、猫が
立って蕎麦を食っている絵などは、ひよっとしたらこの類か。