2014年03月14日

田端宣貞詩集

<田端宣貞詩集> 記 中尾彰秀              詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(69)

 「田端宣貞詩集」 近文社詩人叢書 94 1998年 定価1000円 31篇 90頁

          「熟睡と死」

<ストンと 奈落に落ち込む 大きな手が受け止めてくれる 大きな手の上で 安心しきって
 揺られている (これが睡りのはじまりである)

 大きな手は波に変わり 空と海が広がり にぶい光のみなぎるなか ただよう波のまにまに
 睡りはそこはかとなく揺られている 時に立ち現れる虹やオーロラ! (魂は夢を見る)
 
 ・・・時は満ちて 睡りはうまいへと熟れて行く 熟した果実のかぐわしい匂い みなぎる百光
 魂は蒸発して肉体だけになり たとえようもない快さに浸されて行く

 生から死に移るとき  コトンと こときれるとき沙婆苦は雲散霧消 自己放棄の解放感に包
 まれて 果てしもない無の快さに浸されて行く

 うまいの快さは死の快さ!慕わしいほど かぐわしい涅槃よ。>

       これは舌を巻く詩である。死を うまい とは。
       例えようもない快さとは。魂と肉体は意図的にか
       逆に記している。肉体は消え魂だけになるのでは
       ないのか。しかしこの時代にこれだけのことを書くとは。
       現代の癒しにも通じるのである。かぐわしい涅槃よ!



Posted by nakao at 18:28│Comments(0)
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