2014年03月29日

健忘性

<健忘性> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 えーとどこだった
 M新聞支社の場所
 血管浮き立たせ
 ウーンと気張っても
 思い出せない
 数十年続いたこれまでのビルに行って
 はたと思いだした移転
 移転後この前一度
 確かに訪れている

 古い記憶が残り
 新しいものが入りにくい
 典型的な還暦健忘性
 ならばそれはそれで良い
 かくなる上は急がずじっくりと
 やって来る記憶を待つのだ

 上手いコーヒーとケーキたしなみ
 カラスの森眺めながら
 潜在の奥井戸に入る
 清らかな地底水と
 マグマの圧力をくぐり抜け
 きっと白馬にまたがり
 ズカのいでたちで
 やって来る記憶
 古代の紐に束ねられた
 とてつもなく透明な風と共に

 そして私は
 初めて触れる大切なピアノのごとく
 その記憶に再会する
 前の職場の斜め前なのだった
 
 



Posted by nakao at 22:08│Comments(0)
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