2014年04月13日

奇跡の詩篇

<奇跡の詩篇> 記 中尾彰秀                 詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(72)

 武西良和詩集  新日本現代詩文庫105 土曜美術社 2012年 1400円+税

     「踊り場の子ども」

<教室を飛び出たのは みんなに自分を見つけてもらいたくて お母さんに心配してもらいたくて
 
 子どもは迷っている 迷路のようになった学校の階段で 上がってきた踊り場で ここは何階だ
 ったのかと どこにも表示がなく ここの窓が高くて薄暗く 見上げてみても 振り返っても 何階
 へ続くのか分からない 

 女の子はそこで 分からない という答えを見つけてしまった

 だから友達の顔も 担任の先生も 自分の教室も 知らないと言ってしまった

 算数の繰り上がりも 繰り下がりもできないことを 認めてくれなかった 二時間目 階段の踊り場
 に立って 分からない を見つけてしまった

 いらいらを鎮め 悩みを解決するステキなことばを 胸ポケットに入れてその子は 階段を下り始めた>

     何でも分かっているかのごとき、先生の教え方は、基から
     間違えている。ゼロと無限とを分からずに算数を教え。
     波動音域を知らずに表音ばかりの西欧音楽を教え。
     無限を内に抱く現代美術を知らずに美術を教え。
     身体の中には大自然があることを知らずに、外の自然を教え。
     医食同源、食べ物で健康は決まると知らずに妙な給食を食べさせ。
     進学と人間性は全く関係ないという確信を持たずに、進学を勧め。

     がんじがらめの教育の中で、子供は本能的に目覚める。
     押し付けでない自然なところに、何か本物があることに。
     それは「分からない」という出発点。

     こんな詩を書く校長先生は、それ自体 奇跡である。



Posted by nakao at 15:39│Comments(0)
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