2014年05月01日

北口汀子詩集

<北口汀子詩集> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(75)

 「微象」  北口汀子詩集 1991年 竹林館 定価2000円 30篇 102頁

       我々は日々、生きている。神話の世界を。
       逆に言えば、歴史・真実・神話の証拠として
       今の今を造り上げ生きている。それは、存在の
       源に生かし生かされている奇跡。その実感が
       良く生かされた一作がある。内なる光への軌跡
       の描写だ。その他、想念の実験のごとき作も見
       受けられ、詩人としてのプロセスを窺うことができる。
       添えられた多田真理氏の版画はルドンの印象が
       強く感じられる。

            「ノスタルジア」

   <言葉が或る時果実のように熟れてくることがあるそうだ
    そんな話はおぼろな彼方に見え隠れする神話の世界での
    出来事のように思える しかし確かにそんなときが稀に
    訪れるものだ そんなとき 言葉は丸丸と熟し 心の底
    にぼってりとした手応えを残す そしておぼろな彼方に
    揺らいでいた神話の世界が忽ちに顕れてくる ところが 
    その言葉が何だったのかいくら考えてみても 浮かび上
    がってはこない ただ心の底の暗闇に残るかすかな感触
    だけがやけにありありと感じられ その感触を手繰り寄
    せるとぽっかりと白く輝いている
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・>
       


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Posted by nakao at 16:30│Comments(0)芸術
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