2014年06月12日

須賀千津子詩集

<須賀千津子詩集> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(90)

 「いっぽんみち」 須賀千津子詩集 銀河書房 2014年 1600円 A5版 94頁 24篇

      一本道とは何か
      この世の命は
      一本道ということか

      なるほどそうとも言える
      しかし意識の持ち方で
      百本道となることを
      知らぬわけはなかろう
      意識のあり方で
      今日という日は
      天国になったり
      地獄になったり
      一本の道の中に
      百本の道があるのだ
      現にこの地球
      同時に
      平和な地域と
      戦争や飢餓地帯が
      あるではないか

      ところで
      多くの動植物は
      あり得へん事を
      事もなげにやっている
      人間が勝手に理知という常識で
      あり得ないと決めているだけ
      そこで
      「見返り猫」

<ありえへん このタイミングでは ありえへん 書きかけの詩の紙面の上に
 猫 座る ありえへん せっぱつまった私の気持ち 知っているのか知らぬのか
 彼女は常の彼女なり ありえへん どかす勇気を振り払い トイレに行こうと
 部屋を出る 戻ると娘が座っていた ありえへん この暑さ ありえへんで と
 私は娘に訴える そおう? と ふつうの顔で 朝食をすませ かわいそう
 ミルに座られたのお? と同情する ありえへん すんなり猫は移動する
 ありえへん 振り返りもせず猫は行く ありえへん 見返り猫など ありえへん>

      死にゆく人を   
      何日も前から予知して
      すり寄って悲しむ猫
      急に空間から
      湧き出すごとく
      現れる猫
      この人はきっと
      飼ってくれる
      目星を付けて
      しつこく食い下がる
      野良猫
      猫はしかし
      恩を受けたら
      必ず優しさで
      お返しする
      

 



Posted by nakao at 16:45│Comments(0)
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