2014年06月18日

田中信爾詩集

<田中信爾詩集> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(95)

 「詩集 室内楽」  田中信爾詩集 編集工房ノア 2004年 2000円+税 A5版 36篇 94ページ

      詩にせよ何にせよ
      優れた感性で
      優れた作品はできない
      優れた感性だけでよいなら
      家に閉じこもって
      モーツアルトでも聴いておれば良い
      人の詩ばかり読んでおれば良い
      感性だけで本物は決して出来はしない

      この詩人は
      モーツアルトばかり聴いて
      家に閉じこもって詩を書いているから
      ロクな詩を書いていない 
      カスだ
      ところが感性は天才だから
      一度外に出て
      水田に囲まれると
      素晴らしい詩が生まれた
      さらに言うなれば
      お好きなその演奏は
      モーツアルトの譜面に基ずいて
      他者が奏じたものだから 
      偽物である
      外界の風の音や水の音こそ
      本物の音楽なのだ

      「水田にて」

<雨の日と 晴の日が 繰り返す六月 人々は田で働く 
 水が引かれて 水田が広がる 空を映し 山を映し
 緑を映し 水田が広がる 苗が植えられる 
 風が流れて 水がゆるやかにゆれる 
 朝 私はバスに乗って 水田の中を行く 心が落ちつく
 考えてみると これが私の<原郷>のような気がする
 水と 空と 山と 緑と そして風 私の<原郷>の
 幻を見るようだ>



Posted by nakao at 18:09│Comments(0)
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