2014年07月09日

瀬野とし新詩集

<瀬野とし新詩集> 記 中尾彰秀               詩人・ピアニスト・ヒーラー

 世界を至福にする百の詩集(99)

 「菜の花畑」 瀬野とし詩集 土曜美術社 2014年 定価2000円+税 A5版 22篇 96頁

       言葉の上手や
       表現の美しさではない
       体験という
       一生を通してもの言う事実にこそ
       注目して詩となす
       本当の言葉は
       そこから出でるのかも知れない

       もちろん事実とは
       目に見えぬ風のひと吹き
       草木のひと揺らぎ
       に始まって
       自らの生死の関わることや
       高次元波動の体感をも含む
  
       表面的物的社会的リアリズム
       だけではとうてい時代に
       遅れを取っている

       他ならぬ
       今ここに生きるところに
       あらゆる波動が
       集約されているから
       

       「墨を磨る------菜の花畑」

<墨を磨る 硯の 海から陸へ 水が上がる
 墨を磨る 黒い水が陸から海へ戻る

 墨を磨ると 菜の花畑がひろがる 奈良の墨工房の壁には
 大きな菜の花畑のカラー写真があった
 (この黒色は黄色い菜の花から作ります)
 菜種油を燃やした煤と 膠を 職人さんは 手首まで 素手で混ぜてこねていた

 墨を磨ると 菜の花畑がひろがる 昔の人びとのできごとや思いを 筆跡くっきりと
 伝えてくれた 菜の花

 幼いわたしが白い蝶を追って 畦を走りまわった 菜の花畑

 ナロジチ地区の いちめんの菜の花畑 土壌の汚れを吸い上げながら 咲いている

 ・・・・・・>

 



Posted by nakao at 13:38│Comments(0)
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