2014年08月02日

あいだてるこ詩集

<あいだてるこ詩集> 記 中尾彰秀                詩人・ピアニスト・ヒーラー

 地球を至福にする百の詩集(5)

 「時の彼方へ ~西行遍路うた~」 あいだてるこ詩集 2014年 ブックウエイ 1000円+税
                        A5版 27篇 70ページ

     当時の風情は
     どんなものであったろう
     その時代によって
     社会制度は違うものの
     生身の人間は現代と同じで
     同じ哀愁の風が吹きすさぶ
     時代を超えて変わらず
     普遍的にあるものこそ
     真実なのである

     「夜陰に走る」

<屋敷内の奥まった部屋 清盛は風の音に目を覚ます ピタ ピタ
 確かに聞こえる 庄園加料調査いかであろうかと ひそかに頼みし人
 現れる影を待つ

 淋しき心を抱いて眠る夜は恐ろしく 夜陰にまぎれて疾走する西行
 鞍馬の峰がけ高野山大塔造営の歓進 奥州の果てまでも 時をかける
 風貌に壮麗の重みあり 取り替えた草履の紐が白くひかる

 両手をひろげて正座する清盛 墨染衣ひろげ対座する西行 襖に写る影
 二羽の大鷲のごとく 酌み交す酒は人肌に心を解きほぐす

 娘徳子を帝に入内させた清盛の勢力は頂点に近く 鳥羽法皇と崇徳天皇
 親子における確執 地位も名誉も捨てさった西行の心になお お二方の縁
 に近き者として混沌とした苦渋 夜陰にこもり酌み交わす酒 ほろ苦くせつ
 なく 何人にも見せぬ顔と顔 歴史の中にうずもれて>
     



Posted by nakao at 17:14│Comments(0)
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