2015年04月05日

中西衛詩集

<中西衛詩集> 記 中尾彰秀              詩人・ピアニスト・ヒーラー

 地球を至福にする百の詩集(33)

 「波濤」 中西衛詩集  2015年 竹林館 2000円+税 
                A5版 146頁 40篇

      世界を心の内側のものとして受け入れている
      それはやさしさであり、厳しさであり、 
      深さである。

      風景描写の間合いにある静けさに
      きっと読者は気付く。
      町に在りながら山にある魂よ
      山に有りながら空を呼吸する心よ。

      「風の正体」

<そっと戸口に立つと どこからか秋の気配がする

 うなだれた並木の 黄葉が音もなく落ちてゆく朝 自宅の二階で
 これといった身よりのない エアコンの嫌いな爺さんが ぽっくり
 死んでいった

 長かった暑さを 振り返るかのように さみしい時間が過ぎ去っていく
 さみしいということは 過ぎ去ることなのか あるいは 過ぎ去ったこと
 なのか あの雲は 長い航程をたどって どこまでいくのだろう
 行けども 行けども 空は果てしなく

 やがて雲は風を起こし せつない 雨をふらすであろう 行く手も分からぬ
 旅の終わりに 薄墨の闇がせまってくる>



Posted by nakao at 17:08│Comments(0)
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