2009年09月19日

心薫る女

<<< 心薫る女 >>>    詩評 中尾彰秀  詩人・ピアニスト

 2009年6月21日(日)、「詩を朗読する詩人の会”風”」第401回ゲストは、
すみくらまりこ さん。この会は、毎月一回詩人を招いて、詩批評・詩話・雑談・芸術論、他
をザックバランに実施している。
    場所 喫茶「スワン」(天王寺、℡0666244337)
    日時 毎月第三日曜日 午後5~7時  参加 1000円(ドリンク付き)
    代表世話人 中尾彰秀 ℡0734227248  予約なしОk

 さて、2008年に竹林館より出版された、詩集「心薫る女」(定価1500円+税))は、見事
な美しい主知の詩群を、織りなしている。”主知”とは、大自然に語らせるのでなく、自らの意
識・知覚の側から対象をあらわし、奥域への部分的接点を求める西欧の方式。
 私が注目するのは、その方式が日本語を駆使して、限界を越えようとしていることだ。さらに
、存在の奥域を理解する人生の先輩たる、東洋の存在論を持つ母の言葉を匠に使っているこ
と。奥域の闇を照らして、変質させる力となっているのだ。

      「さ・が・ら (玉縫い)----亡母へ----」

<ふとんに落ちた針を おろおろ探していると、 「針は優しいえ」と、 きまってあなたは言った
、母よ、   「針は寝よ寝よとするのえ」 とあなたは続けた、母よ、 針一本でわたしを育てた
あなた。 一人で過ごす長い夜、 あなたを偲んで玉縫いをする。 心模様を色に置き、 一つ
一つ糸留めをするたび 密集してくる私の想い ・・・   黒絹の上には月青く、 萩が惜しげも
なく 咲き零れている。>



Posted by nakao at 16:13│Comments(0)芸術
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。