2010年06月18日

千年夢見る木

<千年夢見る木>  記 中尾彰秀    詩人・ピアニスト・ヒーラー

  あなたの人生を至福にする百の詩集(55)

  「 千年夢見る木 」  尾崎まこと詩集  竹林館 1200円+税
                            出版2010年 9篇 114頁

    本棚の片隅に置いておくと、深夜、消灯後もほのかに光り輝く詩集。
   言葉の柔らかさから来るのか、発想の面白さから来るのか、いや、いつ
   迄もなくならぬ子供心からか。
    少なくとも、子供心には、時間と空間と距離と物性を超えた何かがある
   のでしょう。それを、コントロールするのは大人の中でも智恵のある大人。

    ポケットサイズのイチョウの葉色、この詩集は夢を見ている。無数の子供
   や大人たちと、日々の暮らしの真ん中にある大きな森や湖で、一緒に遊ん
   でいる夢を。

           「雪の音」

  <深い夜の森に 清らかな雪 降る 柔らかな雪 降る
   森にひそむ たくさんの命たち ふたり一緒に あたたかな夢をみている

   落ちてゆく雪と 昇る夢のかけらの すれちがうとき
   あわい紫のひかり 絹ずれのような音 雪の音が聞こえます

   リスの大きな夢 熊のつつましい夢 蛙のゆかいな夢
   そして くじけない私たちの夢

   深い夜の森に 清らかな雪 降る 柔らかな雪 降る>



Posted by nakao at 17:02│Comments(1)芸術
この記事へのコメント
日曜日の「風」、なかなか行けなくてご無沙汰しております。

「千年夢見る木」を取り上げていただけて、ありがとうございます。
「深夜、消灯後もほのかに光り輝く詩集。」と、よく言っていただきました。嬉しいです。ほとんど売れていないようですが、せめて夜中に蛍のように光ってほしいと思います。

「現代詩」というフィールドが苔が生す巌のようで、ますます窮屈に感じておりますが、いやいや自分のこころが苔むしてきたのかと逆に思ったりします。
苔もよし、キノコもよし、これからもよろしくお願いいたします。

                尾崎まこと
Posted by 尾崎まこと at 2010年07月06日 01:07
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