2010年07月16日

ゆりこゆりこと呼ぶのよね

<ゆりこゆりこと呼ぶのよね>  記 中尾彰秀   詩人・ピア二スト・ヒーラー

  あなたの人生を至福にする百の詩集(58)

  「ゆりこゆりこと呼ぶのよね」  大場百合子詩集 詩人会議出版 1300円

       「 一瞬の間に 」

<虞美人草の花が咲いたよ 風にゆられて花びらおちた ただそれだけ

 月見草の花が咲いたよ 夕暮の風に吹かれて花ひらく ただそれだけ

 ただそれだけのことに 涙があふれそうになったよ

 生きるという ただそれだけのことに>

       「 父よ 」

<母を 子どもたちを 地球を丸ごと愛した父よ あなたの愛したものを数えると
 両の手では足りないと 娘の小さな指を折る

 あなたが夜毎聞かせてくれた 「大金持ちになって幸せに暮らしましたとさ」と
 一度も終わることのなかった昔話
 戦争反対が禁句だった時代から 戦争反対を叫び続けてきたあなたの生き方
 今 私は 子どもたちに聞かせる あなたの物語を

 私を可愛がるだけ可愛がって 雛祭の前日に 逝ってしまった父よ
 あなたが愛したものが ほら 私から子どもたちの胸の中へ>

      かつて、与謝野晶子は「君死にたもうなかれ」と歌ったが、
     それは、当時としては、大変勇気のいる事である。人間らし
     い平和を求める心は、時代を超え誰しもが持っている。もう
     一つの勇気は、単純で奥深く最も大切な、生命のすばらしさ
     の実感だ。
      当たり前と思いがちな事を、改めて認識させてくれる、やさ
     しさ溢れる詩である。



Posted by nakao at 18:25│Comments(0)芸術
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