2010年07月19日

正午

<正午>    記 中尾彰秀   詩人・ピアニスト・ヒーラー

 あなたの人生を至福にする百の詩集(59)

 「 正午 」  三木英治詩集  編集工房ノア 定価2000円+税 2004年出版
                             117頁 30篇

         「 夏 」

<   美しきもの見し人のなき夏館

 かつて 火星からネクタイを とり換えに戻ってきたと 自負するご仁がいた
 とすると 机上の地球儀にも 蒼い偏西風が吹いていて そんな諧謔の世界は
 どこか 死の静けさに似ている 樹樹の濃いみどりが梢で なにごとか声発する
 かのごとく 神神の夏は 湧き上がる積乱雲とともに 宴たけなわ

   人ありて 真っ盛りの夏 窓辺の椅子の逸楽の午後 読書のさなか
   ふと 息絶えしあり 羨ましからずや

 いずこにありて今もなお 絢爛たる思考もとめて 知の庭園に幻の 旅つつけたまうや
 昏睡せる人

 その体内に異変のありて 静かなる血の爆裂ありという 惨劇の午後 
 黄泉のながめや如何に 深沈たる知の人よ!

   蟻死してのち蝉しぐれやむ>

     不条理とは、神神しき大自然の摂理の真っ只中に生きる人間の
    感激。それを大なる感謝と思うか、憎むか。この世界は、人間が勝
    手に思い込む程、浅くはないから、何があろうと感謝する事が大切。
    そして、夏の正午は、ありありと永遠を垣間見せる。

     なお、二つの句に酔う。

    名月は脳中にあり古都の酒

    初晴れの海に天使のかもめ舞う
 



Posted by nakao at 17:53│Comments(0)芸術
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