2010年07月22日

ゴヤの絵の前で

<ゴヤの絵の前で>  記 中尾彰秀    詩人・ピアニスト・ヒーラー

  あなたの人生を至福にする百の詩集(60)

  「ゴヤの絵の前で」  水崎野里子詩集 コールサック社 2010年出版 A5版 
                           128頁 29篇 2000円+税

          「 丘 」

<海が見渡せた 濃い緑の葉を傘のように拡げた ガジュマルの樹 ふぞろいの石の
 階段 そこを汗をかきながら登ると 石碑が建っていた 風雨に晒され 黒ずんでいた
 海の近くの小さな丘

  韓国人の戦没兵士のための慰霊碑 太平洋戦争の終わりごろ 米軍兵士は沖縄に
 上陸した そして この丘で 日本側の兵士と最初に激突した でも その多くは韓国
 から徴用された兵士たち 最前線に送られた

  今 静かに建つ慰霊の碑 故国から 遠く離れて 海を見晴るかす 

  灼熱の地獄 人間らしさも 希望もなかった おばさんね 言われちゃった 沖縄に
 住んでいる人に 「ヤマトンチューに何が分かる!」って

  思い返せば 今 その丘の下に ピンクのお花が咲いていた 子供のための遊園地
 があった 

  そう 今思う おばさんもみんなも 何も知らなかった そして 今も何も知らない
 でも これだけは言っておきたい 

  あなたに

  海の見える丘の上に 韓国から徴用された 戦没兵士の 慰霊碑が建っている
 その海は 沖縄の海 かつては 赤い海だった いつか 行ってね>

       過去の事実を知るのは、つらい事だが、勇気を持って
      知らねばならない。戦争はいかなる目的であろうと、して
      はならない。亡くなられた方々の、ご冥福を祈ります。

       詩によって、詩評をいたします。

       「戦争に利用された丘は 寂しいダンスをする
       人間の居らぬ時 とても とても 哀しい唄を歌う
       私の見たい丘は 世界中のどの国の人よりも
       いち早く 平和の日の出を拝す
       丸ごと地球の様な丘だ 生きる事が そのまま
       歌でありダンスである 平和な丘だ」
       



Posted by nakao at 17:59│Comments(0)芸術
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